わたしが言葉や文章にこだわる理由~「言葉で、文章で、伝える力が人生を変えることを体験したから
わたしは子供の頃に自分の気持ちを言葉にできなかった子でした
「言葉や文章で人間関係は変わる」「言葉や文章で、伝える力は人生を豊かにする」
わたしがそう言い続けてきたのは、ちゃんと理由がある。自分がそれを身をもって体験してきたからだ。これはそんなエピソードである。
――桃子は父親に可愛がられた記憶がない。
悲しいかな物心ついたときから、怒っている父か、飲んだくれてテンションの高い父か、そんな姿ばかり。
親というのは子供を無条件で愛してくれる存在。そんな世間の常識に反して父は私に手を上げた。
それがしつけや教育なら叩く理由はある。しかし父は自分の気分で私を打った。
だから幾度も思わずに入られなかった。
「なぜわたしはこの家に生まれてきたんだろう。神さまはいじわるだ」
そうんなふうに布団の中で声を殺して泣いた。
今でいうなら親ガチャ。ハズレだ。
苦しくても悔しくても、泣いても、声には出せない。声をあげると父親から「黙れ、うるさいっ」とまた叱られるから……。
そんな環境で育った桃子は自分の気持ちを素直に表現できなくなった。自分の感じたことや思いを口にだせない子供になっていた。
そう、当然、友だちなんてできやしない。
通知表にはいつも「もっと積極的になりましょう」「ちゃんと発言しましょう」と書かれた。 先生からも、おとなしすぎて何考えてるんだかわからないヤツと思われていたのだろう。
そんな友達のいない桃子にもたった一人だけ、親友がいた。(正確にはたった一匹だけだけども……)
その親友の名前はチョビ。隣の家のおばさんが飼っていた犬だ。
毎日の通学路は隣の家の庭の前を通る。チョビは必ず私を見送り、そして迎えてくれた。私の足音が近づくと必ず「ワンワン、ワンワン」と庭の犬小屋から一目散に尻尾を振りながら駆けつけてくれる。
学校のない日曜日には一緒にお散歩に行ったりもした。
チョビがあまりにはしゃぎすぎて桃子の顔を舐めまくってくるのは勘弁してほしかった。だって耳の横に2つに結いた髪(今でいうツインテール)までバサバサになってしまうから。
親友のチョビにはわたしの”少ない貴重なおやつ”をあげることもあった。
バナナもあげたし、かっぱえびせんも、ビスコも、だ。
ポッキーをあげることなんて一世一代の勇気がいった。もう大奮発だ。
チョビが興奮しすぎてしまい大好きなポッキーが一瞬で消えてなくなるのもホントは少し寂しかったっけ(笑)
桃子が小学4年生のとき チョビは小屋から出てこなくなくなった……。
しばらくしてチョビが死んだことを隣のおばさんから聞かされる。熱い涙がどんどん溢れてきて、涙がこんなに止まらないことがあるのだということを初めて知った。
わたしはますます塞ぎ込むようになっていた。
そんな矢先、国語の授業で出された課題が「作文」だ。
わたしはチョビがこの世から姿を消してしまった悲しみを、どこにもぶつけることのできなかった思いを、作文用紙に綴った。
「チョビへ……」という題名の思いをこめた作文。
そこで奇跡がおこった。
出来上がったその文章を、なんと先生がみんなの前で読み上げたのだ!クラスのみんなが先生のその朗読に耳を傾ける。
先生の声だけが響く静かな教室は、途中からクラスの女子の啜り泣く声もまじった。先生が作文を読み終えるとそれは手を叩く音にかわった。
みんながいっせいに拍手してくれたのだ。
みんなの気持ちがわたしに向いた瞬間だった。
人に自分の気持ちを表現できずにいたわたしは、 チョビが死んだことも、泣いたことも誰にも言えなかった。
でも口に出して言えないことを文にしたことで、思いを形にしたことで、人が耳を傾けてくれた。
すごい、文章ってすごい。
自分が書いたものに共感してくれているなんて。
その作文は、その文章は、クラスメイトに自分を理解してもらうための手段になったのだ。
その時まで存在感ゼロの桃子が、話したこともないクラスメイトから声をかけられる。
「ねぇ、桃ちゃん一緒にあそばうよ」
「今度うちにおいでよ」
そう、文章は“人との距離を縮める魔法のツールだ”とわたしが知ったのだ!
文章を通じてお友達ができた。
私にお友達を与えてくれたのは 、”人の愛”を与えてくれたのはまさに文章の力だ。
だから今でも信じているし、キッパリいえる。
言葉で、文章で、人間関係は変わると……。
天国にいるチョビがわたしに文章を書かせてくれたんだね。
ありがとう。チョビ。
桃子はこれからも書き続けるからね。
みなさん、最後まで読んでくれてありあがとう!
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神崎桃子




桃子先生!
素敵なお話しを共有していただきありがとうございます。
一つだけ苦言を…
ワンちゃんにチョコをあげてはいけません🤭
でも、かつてのワンちゃんニャンちゃんは「ねこまんま」と言って、今からすると彼らにとってはとんでもないものを食べさせられてましたよね😢
自分の書き記したものから世界が開いていく!みたいな経験はありませんが、以前頻繁に桃子先生のスペースにお邪魔していた頃、各方面に折り合いが悪くなり四面楚歌、社会的にも家庭にも居場所が無くなって、桃子先生のお声に癒されていました。
もう一つ僕がその頃やっていたことに、自分の気持ちを吐き出す手段としてノートに書き連ねたこと。
とにかく愚痴や恨み辛み、罵詈雑言を口から発しない、その代わりにノートに殴り書くことで気持ちを保ってました。
最初は分厚いノートが一冊あれば大丈夫だろうと思っていたのが、気が付けば10冊に手が届くようになり、その頃には自分も周りも複雑に絡まった糸が解けてきて書くこともなくなり、今に至っております。
そのノート達は暫くお守りのように保管してましたが、数年前にシュレッドしました。
今では穏やかな気持ちであの頃とは違って桃子先生のお声を拝聴させていただいております。
いつもありがとうございました😊
追伸: 何とか登録出来ました😅
チョビが桃子さんに残してくれたものは、
楽しかった思い出だけではなく、
「あなたの気持ちは、誰かに届くんだよ」
という人生の贈り物だったのかもしれませんね🌸